第三期塾生最終レポート

小松陵平 須江健治 伊原洋輔 安部栄光 森 明子


小松陵平

 まず、私の感想として、大きく2点ございます。

 

 1点目は、塾生の皆さんが博識ということです。毎回の奥深いテーマに対し、自身の想いや考えをグループディスカッションでしっかりお伝えされる点でレベルの高さと熱量を感じた点です。

 

 経歴も年齢もバラバラですが、毎度皆さんのご意見を[自分にはない視点や考えを学ばせてもらえる新鮮な場]と意識して参加させていただきました。非常に勉強になりました。

 

 2点目は、これまで学校の授業では学ばなかった歴史や人物、思想が非常に多く登場し、その都度ご精通されていらっしゃる先生方のご説明で「道を究める・探求するって凄いな」と感じた点です。私は、今まで漠然と[日本の和のこころ」について、グローバルビジネス社会ではメリットよりデメリットの方が大きいと思っていました。

 

 しかし、他国には無い、もしくはあまり持ち合わせていないというメリットが今後日本の武器であり歩むべく道の一つでないかと思いました。

 

 そのことを踏まえ、今後どうのように、そしてどう貢献できるのかについて私の意見を述べます。

 

 まず、決して、米国、中国、インドのような経済大国には少子化の一途を辿る日本はなれないので、ニッチ戦略で高付加価値のあるグローバルポジションを築くことが大事なのではないかと思っています。

 

 AIや大規模戦略には真似できない、人間力やおもてなしの心、安心安全といった人の心に寄り添える細やかな分野で世界を牽引・貢献するのが日本の役割ではないかと思いました。

 

 その中で私には何ができるのか。。。正直、何も思いつかないのが現状です。しかし、身近なところで言うと、常に感謝のこころを持ち、感じたタイミングで相手にきちんと言葉で伝える。そんな当たり前のことを今一度自身と向き合ってやっていきたいと思います。

 

そして、その姿勢を我が子に見せる続けることが、自分が親から受け継いだ心の形成のように次の世代へと受け継がれることを願って取り組んでいきたいと思います。

 

 以上になります。7ヵ月間貴重な経験をさせていただきありがとうございました。


須江健治

(1)これから先どのような世の中にしたいか。そこに日本のこころはどう貢献できると考えるか。

 

 日本人が自信を取り戻す行動をしていきたい。特に縄文文化、17条の憲法、二宮尊徳さんを軸に知見を深めていき周りに伝えたい。

 

 縄文文化「14000年も続いた世界最長で世界最古の文化だったこと、古神道の基礎になっていること、やまとことばの言霊とオノマトペの数の多さ、体を清める習慣など、そして縄文のDNAが現代も残っていること」

 

 17条の憲法「和をもって貴しとなし、忤うことなきを宗とせよ(平和をもっとも大切にし、抗争しないことを規範とせよ)そのための人間の本質が描かれているのが17条の憲法であり、徳を積んだ実践者がリーダーになるべきだと言うこと」

 

 二宮尊徳さん「理念ではなく、とにかく実践で改革していった人だったことを小田原に行って学びました。全財産を投げ打ってそれを基金にしてでもやる、リーダーの本気度が突破口であると言うこと」

その結果「タタミゼ効果」が起こり、助け合い、相手を慮り、自らを律する力を持っている「互譲互助」の世界になっていけば良いなと思います。

 

(2)そのために、自分がこれから、または、将来取り組んでみたいこと。

 

  まずは坐禅を継続して自分を整える。やり方を間違えており鼻から吸って口から細く出すようにしていたが、小田原五感塾で鼻から吸って鼻から細く出すことを教わりました。実践の場は学びが多い。

 

 芋こじ会を開催し、いろんな意見を出し合い、その人の強みを活かすことで、会社をより良く強いものにしていき、⑴を実践していくことでリベラルアーツを学んでいきたいです。

 

「道徳なき経済は犯罪であり、経済なき道徳は寝言である」


伊原洋輔

  対立を調和し自分らしく生きることを実現したい

 

1 自分らしく生きるためには、自分を理解することから

 生まれ育った埼玉を離れて石垣島に移住し、今年4月に埼玉県庁から転職。自分の大きな構成要素であった「埼玉県」を外して進むと決断した際、私を守ってくれていた「肩書」の欠如による不安と、それが無くなったことで、自分らしく生きやすくなる、「無所属の生き方」を望む自分に気づきました。自分らしく生きるためには、まずは自分というものを理解する必要があります。

 

2 日本のこころの講義と対話で気づかされた「日本人」

 「日本とは何か?」、「日本人とは何か?」という、日本人にとって当たり前すぎることを考える機会は、これまでありませんでした。義務教育で歴史を勉強することはありましたが、単なる暗記の教科で、考えることはありませんでした(教科のせいではなく、日本の教育システムの問題のように思います)。

 

 本塾で初めて、日本について考えました。日本の成り立ちや日本のこころの源流、塾生の皆様の対話を通じて、日本人である私の行動パターンや好きな事が、「日本の源流、祖先のメッセージでは?」と気づかされ、自分の理解が進んでいます。

 

 もともと、自分自身に控えめで対立を回避する性格にコンプレックスを感じていたのですが、日本人の性格にそのような傾向があることが理解でき、「自分は日本人らしい日本人だ」と、前向きに捉えることができるようになりました。

 

 また、「和」を重んじる文化や利他性、習合など、今の自分が大事にしている活動に関連する要素が多く、「なぜ活動をしているのか?」と問いに、「日本人だから」という理由が1つ、加わったように思います。

 

3 日本人らしさが世界を救う

 世の中に残っている問題は、対立している概念が引き起こしているものであり、問題を放置することで長年未解決となっているもの。「日本のやり方で進めるか」、「海外のやり方を導入するか」という対立もその一であり、現状は、海外のやり方の導入により、日本人らしさが失われるなどのネガティブが発生しているのではと感じます。「和」や「習合」のような日本らしさが、十分に活かされていないのではないでしょうか。

 

4 自分にできること

 子育てと仕事、自分のやりたいことも大事する生き方を妥協せずに見つけること、それを子育てに悩む同世代に伝えていきたい。自分の身の回りから、対立を解消して調和した世界を実現していきたいと思います。


安部栄光

以下の気づきの点があった。

 

・ 時代ごとに主流となる考え方があり、各国様々な形で受け入れている。

 

・ 議論の中で感じたのは、日本は経済発展を目指す中で、とにかくいいものは受け入れようと柔軟に外国にある様々な考え方を受け入れてきたのではないか。中国からの文化を導入して、自国の文化を作りあげたように、もともと日本は他国の考えを受け入れることは得意であると考える。

 

・ 現在は様々なものを受け入れすぎて、本質的に大事なものが何かを改めて振り返ってもいい段階にあるかもしれない。なんでもかんでもカタカナで受けることができる柔軟性があることも影響しているのかもしれないが、国会答弁に横文字が多すぎる問題もその一つではないか。

 

・ 古くからある日本固有の考え方を知ることは、時代の変遷や淘汰のような作用によって、西洋などの思想と日本の考え方がどのように入り混じったか、ないし、形を変えたのかを考えるヒントになる。

 

・ 思想や考え方の在り方に「正解」はないが、もともと日本にあった考え方を知ることは、日本の根っこを知ることになり、相対的に「今」がどういう時代かを知ることができると感じた。また、何が変わったかのかも測る指標になるのではないか。

 

・ 西洋はマーケティングなどマス向けのビジネスが得意だが、日本は個別具体向けの商品が得意とよく聞く。そもそもアイディアを受け入れ、日本内で醸成し、新しいものを作り上げる、こういったプロセスが日本の得意な分野だったのかもしれない。それは日本に職人文化があるからかもしれない(他の国では職人の地位が低いところもあると聞く。日本のように、手に職がある方が尊敬するという点には、日本らしさがあるのではないかと感じた)。

 

・ 現在、価値観や政策など作ったもの勝ちの世界が広がっている。米国しかり、EUしかり、中国もその例に漏れない。

 

・ ポケモン、ドラクエ、ドラゴンボール、ワンピースなど、日本から発信したもので世界的に人気なものはたくさんある。漫画なんかは特に日本人的価値観で書かれているものが多いが、世界からの支持を集めるものも多い。こういったところを見ると、今だからこそ、改めて日本固有の考え方は振り返るに値するものではないかと感じる。

 

・ また、「もったいない」文化ではないが、世界から見ても日本固有の考え方には重要な考え方が含まれていると感じている。もちろん、中には時代の流れに合わないところもあるかもしれない。そういった部分は調整することで、うまく活用することができるのではないか。

 

・ 世代が異なっていても共通の考え方があると、塾に参加して感じた。ある種、それは日本人共通の考え方であるが、それが最良であるかはわからない。もしかすると、日本人にもともとあったところに戻ったほうが、原点回帰したほうが良いということもあるかもしれない。ただし、何事も戻ればいいというものではないと感じる。

 

・ したがって、まず自分としては日本固有の考え方をより深掘っていくことを引き続き行っていきたい。その中で重要な考え方はさらに自身に定着させ、また政策への考え方に活用していきたいと感じた。


森 明子

新しい資本主義社会と雑談力

 

 めまぐるしく変わる現代社会において、敷かれたレールやロールモデルを追うのではなく、自分の得意分野や強み、個性を発揮し、自らプロデュースしていくことが必要になってきている。その中でも、確固たる自分の源泉が何であるかを深掘りしていきたいということ、また世界の中でも他国に類をみないと言われている「日本」のこころを追究したいと思い、参加させていただいた。

 

 宗教や自然環境、外部影響等色々な切り口から深掘りすることができる日本。まずは四季があること、これは情緒を感じやすく、事実、一つの季節しかない国よりも多くのボキャブラリーがあり、言葉の表現力が豊富となる。地震や水害、台風が多く、生活が自然によって危ぶまれることから、多くの神が存在している。しかしながら、神道に加え、仏教、キリスト教等、多くの宗教を受け入れて、生活の中に取り入れている。現に私も、家には神棚と仏壇があり、お経を唱えお祈りしながら、中学・高校・大学とキリスト教で聖書を学びミサに参加している。考え方が自分に合うところの良いところどり、よく言えば、既にダイバシティを受け入れるベースが成長過程でできているといってもよいかもしれない。

 

 日本人とは、過去の歴史の中で、臨機応変に物事を受け入れ、自分たちが暮らしやすいように自分たちにあった形に変えていくことが得意だと思われ、また豊富なボキャブラリー、そして、平仮名・カタカナ・漢字を使い、言葉の表現力は高いと思われる。そして、これからの新しい資本主義の中で、この変化を受け入れ、新しい形を作り上げていくことは、我々の得意分野であると思う。

 

 そして、AIと共存する中で、AIにはなく、またAIを成長させるのに一番大切だと思われる「雑談力」は、このボキャブラリーが豊富で、言葉の表現力の高い我々日本人にはポテンシャルがある。人との対話や様々なジャンルに興味を持ち、この「雑談力」を向上させていきたいと思う。